約 2,621,360 件
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/2435.html
【種別】 文化・娯楽 【初出】 偽典・超電磁砲収録 「とある自販機の存在証明」 【CV】 沖野晃司 【解説】 様々な場所からネットを介してゲリラ的に生放送を行っているラジオのこと。(登場した番組は一つのみ) 規模としてはスポンサーが付くくらい。 学園都市の中ではマイナーな娯楽の一つとされている。 作中に登場したリスナーは、浜面仕上とその仲間、 御坂美琴、白井黒子、木原那由他。 放送された内容は、 「超能力者という存在について」 「武装無能力集団を率いて伝説になった男、黒妻綿流」 「全ての能力を無効にするブラックホールのような無能力者」 「世界の法則を覆す魔法使い」 「安全ピンで止めた修道服を着て無限の食欲を見せる『妖怪くっちゃ寝ー』」 「耳をでっかくしたり鞄に入ったりする奇術サイド」(※ 外部リンク 参照) 「喧嘩していた超能力者二人を抑え込んだ『奇跡の無能力者』」※横槍が入り途中で放送中断 「防犯カメラの『死角』に未使用のマネーカードが何百枚も見つかっている」 と読者ならニヤリとするような内容ばかりである。 また、DJは後にとある科学の超電磁砲本編で大覇星祭の実況に選出され、雲川と共に二人三脚を実況解説している。 なお、放送中に地震が起きているので、スタジオは第一九学区周辺にある可能性が高い。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/945.html
【種別】 人名 【初出】 とある科学の超電磁砲第四話 【CV】 伊藤かな恵 【解説】 初春飾利のクラスメイト。第七学区立柵川中学に在籍。 身長160cm・体重46kg、スリーサイズは79・58・80。 セミロングの黒髪に白梅の花を模した髪飾りをつけている。 挨拶代わりに初春のスカートをめくるセクハラ女子中学生。 なお、学園都市の外には弟が居る。 趣味は都市伝説や噂話を追求することで、 『悪趣味で悪趣味でPTAが怒り心頭になる』ようなウワサを追いかけるのが好き。 登場したウワサ話は「佐天涙子の都市伝説」の項を参照のこと。 好奇心旺盛な性格で、怖いもの知らずなのかあるいは怖いもの見たさなのか、自ら危険に踏み込んでいく事が多くトラブルメーカーな性質。 そんな性格ゆえに事件に巻き込まれ、命の危機に晒されることもあるが、なかなか懲りない。 超能力に憧れて学園都市に入学したが、得た能力はレベル0の『空力使い』。 初めて受けた身体検査で「才能が無い」と判断されてしまったらしい。 幻想御手の話題のくだりを見る限り、自分の能力に不満があるようだ。 初春の繋がりで白井黒子や御坂美琴とも知り合う。 美琴が誰にも知られずにクッキーを作るために自宅を提供するなど、 友人の友人ではなくプライベートでも親密になっている。 【作中での行動】 ある日、不良から理不尽な暴力を受けていた男子学生を発見し、助けようとして割って入るが、何もできず、 彼女を助けに入ったレベル4である黒子と、偏光能力を持つ不良との戦いを目撃する。 それによってレベル0の無力さと高位能力者との世界の違いと劣等感に苛まれ、偶然入手した幻想御手に手を出してしまう。 一時は幻想御手によって望んでいた力を手にするも、副作用によって意識不明となり冥土帰しの病院に収容される。 幻想御手のネットワーク解体に伴い意識を取り戻したが、手にした力は失ってしまった。 8月10日には、マネーカードを探すため、 街中で犬のように四つん這いで鼻を利かせているところで美琴と遭遇している。 とある科学の超電磁砲SSで描かれた物語では、ショチトルと出会い、事件に巻き込まれていく。 時系列的には約三ヵ月後、『禁書目録』十五巻の口絵には元気そうな様子でコッソリと登場。漫画「禁書目録」では第八十五話の最後のページの右上に小さく描かれた。 また新約一巻では、初春飾利、春上衿衣と共にファミレスで楽しく会話している姿が確認される。 さらに新約九巻ではオティヌスが改変した「誰もが幸せな世界」にて、ついに初の台詞付きで登場した。 新約十七巻では、【裁判】の王の処刑を止めようとする初春を宥めた。 新約二十巻では美琴の台詞の中で登場し、学園都市停止後は家族が早々に迎えにきたことが語られている。 また漫画『超電磁砲』十一巻の扉絵においてインテリビレッジの座敷童の座敷童・縁の着物を着るというファンサービスがなされている。 【アニメ版】 「禁書目録」においては前期後期ともにOPにチラッと登場している。 「超電磁砲」ではメインキャラの一人で、一話から登場。原作に比べ出番が大幅に増えた。 巨乳御手を使ったのではないかという噂でもっぱら。 幻想御手を使用した際には、「空力使い」が強化されて 木の葉を舞わせている様子が描写されている。 アニメオリジナルエピソードである乱雑開放編では、無能力者であるにもかかわらず、鉄バットを手に持ち奮闘。 戦闘という彼女にとっては縁の薄い場面ではあったが、無能力者故の大きな活躍を見せた。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3958.html
【種別】 超能力 【元ネタ】 Oil direction=「油の指揮」 【初出】 とある科学の超電磁砲 131話 【解説】 水鏡凪紗が所持する能力。レベル不明(3〜4)。 自身が触れたあらゆる油分を操作する。 水鏡は主に人体の脂肪を対象にしており、自他問わず脂肪の配分を変え、体型を自在に変更する事ができる。 触れるだけで腹を凹ませることも胸を盛ることも顔の輪郭をいじることも自由自在であるため、 女子校である常盤台ではある意味神の様な能力である。 ただし、脂肪をどのように増減させるかは水鏡本人の主観的な美的センス次第であり、 なおかつ彼女のセンスそのものはそこまで優れているわけではないので、 この能力でスタイルを変えてもらおうと思っても、必ずしも思い通りの美しい身体を得られるとは限らない。 また、脂肪を過剰に増減させすぎてしまった場合、当然体調にも影響が出る。 戦闘時には一時的に痩身になって攻撃を躱したり、逆に肥満体型になって打撃の衝撃を軽減したり重量を活かした攻撃をしたりと、 アクロバティックな攻撃スタイルが可能だが、肥満時には服が破けてしまうのが欠点。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3646.html
【種別】 人名 【初出】 とある科学の超電磁砲 コールドゲーム 【解説】 「ループホール」の通称で呼ばれる凶悪犯。 中性的な美貌を持つ15歳の少年で、所作や言動からも特有のカリスマ性を感じさせる。 個人情報保護のため、能力は強度・系統共に公表を控えられている。 法制度や社会システムの欠陥を訴えるような形で犯罪を実行し、自殺幇助・放火・監禁・殺人未遂などへの関与が確実視されながらも逮捕を免れていた。 警備員や風紀委員への不満を集中させる形で犯罪を犯すことからカリスマ的な人気があり、信奉者も多く後述の裁判では傍聴の倍率が過去最高の208倍に昇った。 佐天が撮影した自撮り写真に偶然写り込んでいたことから正体がばれて逮捕に至り、「コールドスリープ殺人事件(未編集)」の被告として裁かれることとなる。 だが、裁判を補助するラーニングマシーンに「悪い前例」ができるのを司法界が恐れるのを見越して、 法廷で弁護人と結託し、脳波も心肺も停止した状態から被害者を蘇生させる手段があると宣言することで、 被害者の生死を裁判に関わる全員の判断に委ねようとする。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3607.html
【種別】 存在概念・魔術 【初出】 とある科学の一方通行29話 【元ネタ】 Wikipedia-ゴーレム Wikipedia-生命の樹 【解説】 ローゼンタール家が目標としている存在。 完全な魂魄と完全な肉体を持つ、すなわち神と同等の存在、ケテルを目指すというもの。 通常の魔術で使われるゴーレムは「神が土から人間を創造した」という十字教の伝承を基に人が不完全な意思なき土人形として再現するものだが、こちらのゴレムはただの土人形ではなく、神が作り出した魂を持つ存在、つまり人間を指す。 土で作られた最初の人間であるアダムは、知恵の実を食べたことでエデンの園から追放されたが、これはもう一つの生命の樹の実を食べることで、 永遠の命を持つ神に等しい存在になることを恐れたからとされる。 そのため人間は死に、あの世に行くというのが十字教、ユダヤ教等の思想だが、初代のオベド=ローゼンタール(未編集)は人間の死体に擬似魂魄を植え付ける死霊術を使い、人間の脳を持つゴレムを作成し、単純労働しか出来ないゴレムに高い知性を獲得させた。 そのためローゼンタール家は異端とされ、東洋に追放された。
https://w.atwiki.jp/saimoe_madoka/pages/80.html
キュゥべえ -‐ニ ┤ _ -‐ ´ / } __ /´ `ヽ、 j _ -‐二 ─ァ ( .r .) ヽノ く  ̄ / ( .r .) ヽ\ \ / / 、_, } ヽ ヽ/ { ー´ ノ ヽ / ハ イ ヽ ,′ | ゝ / l ヽ_┐ _ l ├─`ー ┬- l´ l ヽ // \ヽミヽ/ ! l ! l /ヘ /⌒ ヽ\〃ミヽ、 j ,' l\ ∧_ // ゚ \ / ( `ノ \、 l \/レ-< 、 ゚、_ _ ) / \ /o ノヽ\ ハ i ヾ、 ..ヽ \゚`ヽ、 \ { r‐` ̄ / o o / `ー┘ { { | `"ヽ `ヽ、_)`ー--' 、 ゝ-/ / / ! 丶 { ヽ \ 'ー─/__ / / l ∨ / } \ ´ _ -‐ ´ l { ∧ ノ ` ー─-- -─ ´ ((l, H ト、ゝ─ ´ / 〉 ハ / (r , '´ ゝノ/ ノ  ̄'  ̄ 二次予選 8月10日 466名中100位 本戦進出 1位 100票 佐天涙子@とある科学の超電磁砲S 2位 74票 結城明日奈(アスナ)@ソードアート・オンライン Extra Edition 3位 67票 三沢真帆@ロウきゅーぶ!SS 4位 63票 三千院ナギ@ハヤテのごとく! 4位 63票 百江なぎさ@劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 6位 60票 インデックス@とある科学の超電磁砲S 7位 59票 宮子@ひだまりスケッチ 沙英・ヒロ 卒業編 8位 58票 大連寺鈴鹿@東京レイヴンズ 9位 55票 御坂妹(ミサカ10032号)@とある科学の超電磁砲S 10位 51票 灰原哀@名探偵コナン 100位 23票 纏流子@キルラキル 100位 23票 冬馬かずさ@WHITE ALBUM2 100位 23票 七草真由美@魔法科高校の劣等生 100位 23票 一ノ瀬はじめ@ガッチャマン クラウズ 100位 23票 八舞耶倶矢@デート・ア・ライブII 100位 23票 キュゥべえ@劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 100位 23票 片山実波@Wake Up Girls! 100位 23票 篠ノ之箒@IS〈インフィニット・ストラトス〉 2 100位 23票 水瀬伊織@THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ! 100位 23票 南春香@みなみけ 夏やすみ 100位 23票 我那覇響@THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ! 100位 23票 江口セーラ@咲-Saki- 全国編 一次予選E01組 7月24日 187名中24位 2次予選進出 1位 102票 湊智花@ロウきゅーぶ!SS 2位 95票 宮永照@咲-Saki- 全国編 3位 91票 鹿目まどか@劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 4位 90票 矢澤にこ@ラブライブ! 5位 89票 園田海未@ラブライブ! 6位 82票 東横桃子@咲-Saki- 全国編 7位 76票 白井黒子@とある科学の超電磁砲S 8位 65票 花田煌@咲-Saki- 全国編 8位 65票 国広一@咲-Saki- 全国編 8位 65票 南夏奈@みなみけ 夏やすみ 11位 62票 竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に拡 -アウトブレイク- 12位 54票 凰鈴音@IS〈インフィニット・ストラトス〉 2 ━━━━━━━━━ここまで本選進出━━━━━━━━━ 13位 53票 灰原哀@名探偵コナン 24位 30票 リアス・グレモリー@ハイスクールD×D NEW 24位 30票 キュゥべえ@劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 26位 29票 小鳥遊おとは@プリティーリズム・レインボーライブ 40位 17票 五更珠希@俺の妹がこんなに可愛いわけがない。 ━━━━━━━━ここまで二次予選進出━━━━━━━━ 41位 16票 麦野沈利@とある科学の超電磁砲S
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/1210.html
【種別】 出番表 【解説】 各キャラの各巻での出番まとめ ☆→初登場 ○→登場してセリフがある △→名前のみ登場or登場してもセリフが無い ×→名前すら書かれていない状態 本編 名前 一巻 二巻 三巻 四巻 五巻 六巻 七巻 八巻 九巻 一〇巻 一一巻 一二巻 一三巻 SS 一四巻 一五巻 一六巻 SS二 一七巻 上条当麻 ☆ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ インデックス ☆ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 御坂美琴 ☆ × ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ △ 月詠小萌 ☆ × ○ △ ○ △ ○ ○ ○ 青髪ピアス ☆ ○ ○ ○ ○ 土御門元春 △ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 神裂火織 ☆ × × ○ ○ △ △ ○ ステイル ☆ ○ △ ○ ○ ○ 四葉 △ 常盤台のレベル5 △ カエル医者 ☆ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ 安西 △ 姫神秋沙 ☆ ○ △ ○ ○ ○ △ アレイスター ☆ ○ ○ ○ スフィンクス ☆ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ アウレオルス ☆ △ ビットリオ ○ パルツィバル △ ミサカ妹 ☆ ○ 白井黒子 ☆ △ ○ ○ ○ ○ △ 土御門舞夏 ☆ ○ △ ○ ○ △ △ 一方通行 ☆ ○ △ ○ △ 竜神乙姫 ☆ 上条刀夜 ☆ ○ ○ 上条詩菜 ☆ ○ ○ 火野神作 ☆ 打ち止め ☆ ○ ○ 天井亜雄 ☆ △ 源蔵 △ エツァリ ☆ 寮監 ☆ 海原光貴 ☆ 芳川桔梗 ☆ △ 闇咲逢魔 ☆ △ 風斬氷華 ☆ 黄泉川愛穂 ☆ ○ ○ シェリー ☆ ○ エリス(未編集) △ 結標淡希 △ ☆ ローラ ☆ ○ ○ オルソラ ☆ △ ○ ○ アニェーゼ ☆ △ ○ アンジェレネ ☆ ○ ルチア ☆ ○ 建宮斎字 ☆ ○ 浦上 △ 婚后光子 ☆ 初春飾利 ☆ ○ 御坂美鈴 ☆ ○ 吹寄制理 ☆ ○ △ オリアナ ☆ ○ リドヴィア ☆ ○ チャールズ ☆ 五和 ☆ ビアージオ ☆ アガター ☆ ヴェント ☆ ローマ教皇 ☆ とある科学の超電磁砲 とある魔術の禁書目録(漫画版) とある魔術の禁書目録SS(電撃文庫MAGAZINE版) その他
https://w.atwiki.jp/keroro00innovator/pages/155.html
Special "One" Special "One" アーティスト ELISA 発売日 2010年10月27日 レーベル ジェネオン・ユニバーサル デイリー最高順位 6位(2010年10月27日) 週間最高順位 8位(2010年11月2日) 月間最高順位 22位(2010年10月) 年間最高順位 184位(2010年) 初動売上 4633 累計売上 5928 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 Special One OVAとある科学の超電磁砲 ED 2 Dear My Friend -まだ見ぬ未来へ- とある科学の超電磁砲 ED 3 Real Force ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 11/2 5 新 4633 4633 2010年10月 22 新 4633 4633 2 11/9 ↓ 938 5571 3 11/16 357 5928 2010年11月 ↓ 1295 5928 とある科学の超電磁砲 ED 前作第1期 OVA 次作S Real Force Special "One" Grow Slowly井口裕香 関連CD Lasei future gazer
https://w.atwiki.jp/railgun-yuri/pages/49.html
―舞い落ちた花弁が粉雪に変わる頃 舞い上がる愛しさを抱きしめた― なんだっけ―この曲。 信号待ちの交差点、携帯電話ショップから流れる音楽に耳を傾けながら私は肌寒さに身体を震わせた。 季節は限りなく冬に近い秋。 ―寒いなぁ…この時期でもうこんなに寒いって、私は冬を超えられるのかなぁ 冬用のセーラー服はとっくに着慣れ、カーディガンも身に着けないと耐えられないないほどの寒さになった。 むき出しの脛には冷えた空気に混じって時折落ち葉が絡みつき季節の変化を感じさせる。 ―ネットで聞いたんだよなぁ。改めて聴くと結構いい曲。 「佐天さん、もしかして寒いんですか?」 声のする右側に目を向ける。 そこには季節外れの色とりどりの咲いた花…を頭に乗せた少女が心配そうに僅かに眉を寄せて私の顔を見上げていた。 「あ、うん。ちょとね。そろそろマフラーと手袋が必要だね。」 「大丈夫ですか?私のマフラー使いますか?」 そう言って手提げ鞄からきちんと折りたたまれたマフラーを取り出すと、 両端を持ってフワっと私の首の後ろに回した。 「あぁ平気平気。これくらいなら部屋までは我慢できるから…。」 「ダメですよ。油断して風邪ひいたらどうするんですか?」 と、幼な児に言い聞かせる母親のように真正面から見つめながら、ちょっと怒ったような口調で言う。 自分より一回り小さな彼女がそれをするのだから可笑しい。 「あ、ありがと。でも初春はいいの?寒くない?」 「私は大丈夫ですから。」 と、言う声にもう震えが混じっているように感じた。セーラー服の襟元から見える白くて華奢な鎖骨に鳥肌が立っていて痛々しい。 ―もう…しょうがないな。 私は首にかけられたマフラーの端を短く自分の首に巻き付けると、多めに余った部分を初春の首に巻きつけた。 「えっ…あ…。」 「で、こうすれば良し!」 突然の行動に戸惑う初春の手を握ると、今度はそのまま自分のカーディガンのポケットに二人分の手を突っ込んだ。 「こうした方が暖かいから。ねっ?」 「は…恥ずかしいですよ…こんな街中で…」 頬を朱に染め俯く初春。 「いいじゃない。だって私たち…」 真っ黒なショートカットに半分ほど隠れて、寒さのせいか真っ赤に染まっている耳元に口を寄せそっと囁く。 「"恋人"―…なんだし。」 「………………はい…。」 小さく呟くのが聞こえた。 「それじゃ、これ以上寒くならないうちに帰ろ、初春。」 「…はい。佐天さん。」 ぎゅっと、ポケットの中の手が強く握られた。 タイミングよく青信号となり横断歩道を渡り始めた。 ―繋いだ手から流れ込む何より暖かいこの気持 きっと忘れないように…― 音楽はやがて聞こえなくなった。 熱くなった顔と軽くなった足取りで"恋人"と他愛もない会話に声を弾ませながら、 頭の片隅ではいつまでもいつまでもあの曲が鳴り止むことはなかった。 ―なんだったっけな、この曲。 「それでわかったんですか?」 帰り道―季節はすっかり冬のものとなり、どこか落ち着かない空気が漂う中を私と初春は並んで歩く。 「うーん…それがね~どうしてもわからないんだよねぇ…」 いつだったかの秋の日に、やけに耳に残ったあの曲を私はことあるごとに思い出して ネットやCDショップで探してみるのだが、曲名や歌手の名前はおろか歌詞の一部さえも 朧げで判然としない有様では見つかるはずもなく。 「何度か聴いたことあるはずなのに…PCのデータもわざわざ全部聴いて、音楽サイトの履歴も 見たんだけどねーネット上で何かの時にたまたま聴いただけだったから…」 「うーん…曲調だけじゃどうしようもないですよね。その携帯ショップではもうかかってないんですか?」 「どうかな~。もう一月近く前だし。あの日はたまたま買い物帰りで普段は行かない所だったし… それにもし有線だったとしたらいつも流れてるわけじゃないでしょ?」 ―緩やかな流れの中でテンポの良いメロディーに高音で力強い歌声 ―どこか懐かしい感じはするけど昔の曲という感じではなく…。 「まあ普段生活してて全然耳にしないし、あまり有名じゃないのかな…。」 「カップリングとかアルバム収録曲という可能性もありますよ。 だからあまり流れないし知ってる人も少ないのかも知れません。その可能性が高いですよ! いい曲なんですよね?私も是非聴いてみたいです!」 と、勢い込む"恋人"を横目に見ながら私はつい頬を緩めてしまう。 ―可愛いな…そんな曲なんてどうでもよくてただ初春とこんな時間が過ごせればそれで… 今日の私たちは冬用のセーラー服に指定のコートとお揃いのマフラー そして私は左手に、初春は右手にそれぞれ手袋をはめて鞄を持ち、もう一方の手には何も着けず 私のコートのポケットの中で手を繋いでいる。 あの秋の日から、それは人の少ない道を歩くときの私たちのお決まりのスタイルになっていた。 初春の小さくて柔らかい手を包むようにしてしっかり握り締める。 ずっと握り続けていると手を握っているという感触は失われてきて自然に握る力も緩くなっていく。 私はそれがいやで初春への気持ちを確認するように、強調するように力を込める。 今も指と指を絡めるて握りあう、いわゆる"恋人つなぎ"になっていた。 ―これなら自然に手の力が緩んでもしっかりと"繋がっている"から…。 「そうだ、初春。今日は私の部屋で…」 と、唐突に初春がポケットから手を引き抜いた。 指を絡めていたために―やや乱暴に。 「すみません、ちょっと電話です。」 と言って、マナーモードにしていたらしい携帯電話をコートを捲りながらスカートのポケットからに取り出した。 「もしもし。はい、大丈夫です白井さん。はい………はい………わかりました!すぐ向かいます。」 パチッ―と機体を閉じると、初春は私の方を向き申し訳なさそうな表情を作った。 「ごめんなさい佐天さん。あの…」 「風紀委員でしょ?何かあったんだ。」 「はい。すぐに向かわないといけなくて…。」 ―大丈夫。 私はポケットの中で行き場を失った右手を弄びながら答える。 「うん!この寒いのに大変だね。頑張って行っておいで!」 「はい、ホントにすみません!佐天さん…ありがとうございます。」 と、初春は心底ほっとしたような表情をした。 その顔に、何故だか私の心は大きく揺さぶられた。 強烈な焦燥感に襲われ、不安と寂しさが一斉に去来する。 「初春っ―…」 踵を返して来た道を戻ろうとする初春の腕を、私は素手で掴み、その勢いで振り返った初春と対面した私は、 そのまま―初春の顔に自らの顔を重ねた。 スカートが僅かにはためき、冬の日差しで地面に薄く映し出された二人の影も一つに重なっていた。 冷たい風が髪を揺らし、重なっていた影はまた元の二つに戻った。 二人の間には白い靄が一瞬揺らめき即座に冬の風に掻き消されていった。 「ど…うしたんですか急に?」 ややあって、先に口を開いたのは初春だった。 その口からは断続的に吐息が漏れて真っ白になっているのが見える。 「…びっくりした?行ってらっしゃいのキスだよ。」 顔全体が真っ赤に紅潮していくのがわかる。私は努めておどけた口調で言った。 「びっくりしますよ…それは…こんな場所でいきなり…。」 初春もまたその幼さの残る顔いっぱいに羞恥と戸惑の笑みを浮かべていたが、 どこか引きつっているようにも感じた。 「あ…もう行かないといけないので」 「うん、ごめんね。無理矢理引き止めちゃって。」 「いえ…では佐天さんも気をつけて帰って下さいね。」 早足に初春は駆けていった。 二人の顔が離れてから、初春は私と目を合わせようとしなかった。 ―照れてるんだろう。 私ははそう思おうとしたが思考がうまく働かなかった。 自分でもわからない―どうして突然、あんなことをしてしまったのか―。 胸の高鳴りは激しく、吹き出した汗が冬の寒さを忘れさせるほどだった。 初めて好きな人とした"行為"―しかしそれは、想像していた喜びに満ちたものではなく…。 私は短時間でもう冷たくなりはじめたむき出しの右手を口元に持っていった。 熱を保ったまま、"恋人"の感触を残すそこに指先で触れる。 ―さっきまでこの手で握っていた初春の手。初めて触れた唇。 それらを触れあわせ、真っ白な息を吐き出した。 去ってしまった初春との温もりを取り戻そうとするかのように。 しかし、一際冷えた強い風が吹き付け辺りの枯れ葉を吹き上げると、 触れ合わせたそこから急速に冷たくなって、私の脳裏にはあの緩やかなメロディーが鈍い頭痛とともに鳴り響いていた。 「ねぇキスしよっか。初春…」 「…はい。佐天さん」 放課後―。いつものように二人は寄り添いながら冬の街を歩き、帰り道の途中にある公園のベンチに 座りながら自動販売機で買ったホットココアですっかり冷え切った手を温めていた。 私はそっと顔を近づけると、初春は目を閉じる。 そして唇が重なると私もすっと瞼を細める。 しかし瞼が完全に閉じる前にすぐに初春から離れて周囲を見回した。 また向き直ると、顔全体が変な風に歪んできて、傍から見たら照れたような笑いを浮かべているだろうと想像する。 初春もそれを受けて、僅かに俯きながら上目遣いに笑みを返す。 あの日からキスは二人にとって当たり前の行為となった。 二人きりになると、おもむりに私から求め、初春はそれに応じる。 ただそっと唇を触れ合わせるだけだけど―。 私が、私たちが特別だと思える崇高で汚れの無い誰にも踏み込むことのできない神聖な儀式。 私たちはいつであっても特別で、特別なのが当たり前なんだ。 「好きだよ、初春。」 「私もです。佐天さん。」 不意に唇を近づける。触れ合う直前に慌ててを瞼を閉じる初春。 ―そんなに強く目を瞑らなくたって、見てはいけないものから目を逸らしてるみたいじゃない。 確かにイケナイことしてるのかもしれないけど。初春にとっては…。 また身体を離す。 今度は初春は呆然とした表情で顔を真っ赤に染めている。 そんな初春を見ると、不安に駆られ、どうしようもなく切なくて初春が欲しくなる。 歯止めが効かなくなって、初春の頼りなげな肩に両手を置いた。 「えっ…またで…」 言い終わらない内に触れ合う。 ―ああ…伝わってくる。初春の柔らかくて暖かい唇。もう離れなきゃ。まだ感じていたい…。 今度は長かった。少なくとも私の感覚では。 誰かの笑い声が聞こえた気がしてさっと身を引いた。 遠くで制服姿の集団が過ぎていくのを確かめてほっと胸を撫で下ろした。 初春の方に向き直ると、怒ったような顔をしていた。 「もう…誰かに見られたらどうするんですか。」 「ごめんごめん。つい…ね。」 謝る私を横目で見ながら、初春は手にしていたココアのプルタブを開けた。 「ココアが冷めちゃうことはないですけど、早く飲まないと私たちが凍えちゃいそうです。 飲みましょう。」 と、言ってココアの缶を差し出してきた。礼を言いながら受け取るとそっと飲み口に口を付ける。 ―凍えちゃう、か…。 私は今真逆の状態にいるのに。 火照った身体にはむしろこの冷たい空気はちょうどよかったのだが、買ったばかりの時と同じ温度を保つ 熱いココアを必死に喉に流し込む。 ―そういえば初春からキスしてもらったことってないかも…いや、そんなこと初春から求めるなんて考えられない。 それが初春で、私はそんな初春を好きになったのだから。 ―熱い…。 初冬の気候にも関わらず額に汗が滲んだ。 ―もっとキス…したいな…。 「え…今日も見回りなの?」 「はい、すみません。最近ひったくりが多発していて…―」 放課後の教室―。 私達以外の生徒はおらず、灯りのない教室内を淡い陽の光が照らしていた。 「…―で、だんだん犯行パターンが絞り込めてきたんです。今日は夕方から雨になりそうで、犯行はいつも―…」 ―そんなこと聞いてるんじゃない。聞きたいんじゃない。 もう四日も一緒に帰ってない。二人だけの時間がない。この心はもはや初春なしではまともでいられない。 いつだって側にいたいのに、常にそれに耐えて耐えて… ようやく触れ合えることができると思ったのに…それが裏切られた失望感は大きく、いとも簡単に理性の壁を脆くさせてしまう。 初春が風紀委員になったのが彼女自身の強い意志だということはわかっているし、 それによって二人で会う時間が限られても、風紀委員を辞めるべきだとか辞めてほしいんて言えるはずがない。 そして初春が風紀委員でいる限り、その職務を全うすべきだということもわかっている。 だが、頭ではわかっていても、私の心と身体はそれでは納得してくれないのだ。 「…かなり乱暴で重症になった人もいるんですよ。このまま放っておいたらどんどんエスカレートして いつ佐天さんや他の学生にまで被害が及ぶかわか…」 「もうわかったからっ!!言い訳しなくていいよっ!」 ビクッと初春が大きく身を震わせた。 ―しまった…。 自分の名前を出されたことで何だか攻められているような気がしたのだ。 『あなたが自分のことしか考えていない時に私達はあなた達の安全を守っているんですよ』 と。 それは間違いなく事実であり、常に自身を落ち着かせるために自嘲を込めて使っている戒めの文句だった。 私は初春のためならいくらでも耐えられる。ただそのために少しくらいの恨みごとを抱えていてもいいではないか。 初春に見せなければ…そうでもしなければ私は私でいられなくなってしまう。 正に今の状態がそうだった。 私は募る寂しさと苛立ちに加え、自らの醜さを暴き立てられたように感じ我慢していたものを乱暴にぶつけてしまった。 「ご、ごめん…でも、初春、私の気持ち全然聞いてくれないし…」 ―駄目だ何言ってるんだ…私メチャクチャだ。 「そりゃ、風紀委員が大事で、大変なのはわかるよ。でも…初春は全然寂しそうじゃないし、 初春が本当に私のこと好きなのかわからなくて…。」 5スレ300 中へ
https://w.atwiki.jp/railgun-yuri/pages/50.html
―そんなこと今言いたいんじゃない。でも、 「そこをちゃんと分かるようにしてくれないと私も気持ちよく送り出せないし…」 ―ずっと思っていたこと…。 「ねぇ初春は―」 「言い訳って、どういう意味ですか…」 「え?」 「言い訳って…どういう意味ですかっ!」 ―何…初春が、怒鳴ってる? 「わた、私だって…色々考えてることあるんです。なのに何でいつも佐天さんが決めちゃうんですか! 佐天さんだって私のこと全然わかってないじゃないですか…」 いつの間にか外には厚い雲が垂れ込めて陽の光を遮り、すぐ目の前にいる初春の顔が良く見えなくなっていた。 「私は…私は風紀委員で、学園都市のために…皆のために一生懸命がんばろうって決めたんです。 いくら恋人だからっていつもいつも一緒にいなきゃいけないわけじゃないです!」 「そんなこと私だってわかってるよ!その上で私達のことどれだけ考えてるか聞いてるんじゃん! その…言い訳なんて言い方は悪かったよ…。」 沈黙―。 二人の息遣いと雲が起こす轟音だけが聞こえていた。わずかに残る陽の光が、立ち込めた雲に 透けて不気味な光を映し出していた。 「私…戻りたいです。キスをする前に…」 「えっ……」 ―今初春は何て言ったんだろう。 「すみません、もう行かないといけませんので…それじゃあ。」 そう言って、ほとんど真っ暗な教室の中から高い靴音が響くと次第に遠ざかっていった―。 ―やがて暗闇と静寂に支配された教室で、私の耳にあの曲が聞こえてくるような気がした。 朝。 自室―。 「あ…佐天さん、おはようございます…。」 部屋を出ると初春が立っていた。 「昨日はすみませんでした!私何かどうかしてたみたいで…あ、あのそれで、あの後事件に進展があったんです! 犯人グループの一人を確保して…」 私は扉を閉め、鍵をかけるとそこに誰もいなかったかのように階段へ向かって歩き始めた。 「あ、あの…それで!その一人から他のメンバーに辿り着いて、まだリーダー格の男の居所は掴めて 無いんですけど、もし捕まれば!また一緒に…」 「ごめん、初春。」 私は振り返らずに言った。 「私、今初春と話したくない。」 「え…」 「じゃあ…行くね。」 そのまま歩き出す。 私はずっと昨日の初春の言葉を考えていた。 ―キスする前に戻りたい。 その意味を。 キスする前ってことは、付き合う前と言うわけではない。付き合い始めからしばらく経ったころに戻りたいと言う事だ。 たしかに初春にとっては、あの頃が一番良かったかもしれない。 目標にひた走り、私はその目標を応援して彼女を支えて…。 私がキスをしなければ二人の関係はそんなふうに中の良すぎる親友のままであっただろう。 初春にとってはそれが最も心地良かったのかもしれない。 しかし、私が求めていたのは、もっと真剣な本当の"恋"だったのだ。 それが手に入らないなら私たちが一緒にいる意味なんてない…―。 失望感―。昨日からずっと考えても考えても最終的にたどり着くのはそこだった。 もちりん初春のことが嫌いになったわけではない。 今だって大好きだ。 でもこのまま二人の求めるものがすれ違ったままではとても今まで通りにはいられない。 どうするかなんてわからない。はっきりと別れた方がいいのか…でも、そんなこと言える自信がない。 いっそ初春から別れを切り出してもらえたら…もっと辛くなるかな。 答えの出ない思考の迷路は、能力開発の結果より多くの無力感と絶望感を与えた。 初春が短く声を発した後、動いた様子は無く付いて来てはいないようだった。 私は久しぶりに一人で朝の通学路を歩いた。 昼休み―。 「それじゃあもうすっかり日常生活に慣れてるんですね。」 「そうなの。絆理ちゃんも他の皆ももうすぐ退院できるかもしれないの。すごいの。」 「早く退院できるといいですね。今度皆でお見舞いに行きますよ。」 「是非来て欲しいなの。木山先生は毎日来てるの。」 「ちょっと涙子、聞いてるっ?」 「えっ!?うん、ごめんちょっとボーっとしてた。あはは。」 そう答えると、真正面のアケミはちらっと私の背後の初春と春上さんの方を一瞥し、あんたさーと言いかけたところで まいっか、と溜息を漏らした。 今はお昼休み中で私はいつものメンバー、アケミとマコちんにむーちゃんで机を合わせ それぞれの椅子を持ち寄りお弁当やらコンビニで買ったパンやらお菓子やらを囲んでいる。 本来ならこの中に初春と春上さんもいるのだが、あの朝以来私と初春の間にある 微妙な空気を感じ取ったのか、二つのグループに別れて昼食を取るようになった。 時間の流れというのはあっという間だなと今さらながらに思った。 と、言っても二つのグループが対立してるというわけではなく、アケミ達は普通に初春に接してるし、 春上さんも私に対して同様の態度である。私と初春が話もせず一緒に昼食を取らないというだけで、 他のメンバーは誰かが一人にならないように気を使ってくれているのだ。 ―皆に申し訳ないな…。 この頃私はある一つの決心を固めつつあった。 それは初春と"恋人"であることを止めて、元の"友達"に戻るという選択肢だった。 初春のことは好きだ。 しかし初春と"恋人"でいることは彼女との距離を限りなく近くしなければ、 少なくとも私は―私を保つことができない。 "友達"に戻れば、以前の二人に戻れる。 友人達に気を使わせないで済むし、風紀委員としての初春を素直に応援できる…。 しかしそうなれば、この決して長くはない期間のことは青く苦い経験として将来の記憶には処理され、 もう二度とあの濃密な時間に戻ることはできないだろう。 それでも…。 「この間あんたが言ってた曲なんだけどさ」 「えっ?あ、あー!うんうんあの曲ね。どしたの?」 アケミはまた怪訝そうな顔で私を見たがすぐに表情を戻して言った。 「これじゃなかった?」 と言ってイヤホンの片方を私の耳に取り付けると、手元の音楽プレイヤーを操作した。 「あ―――――」 それは紛れもなく私が探し求めていたあの曲だった。 「ど、どうしたのこれ!?」 と私が迫ると、アケミは両サイドのマコちんとむーちゃんににやりと目配せした。 「昨日たまたまCDショップで流れてたの聴いたんだよ。ほら私も聴いたことあるかもって言ったじゃない。」 とむーちゃんが言った。 ―そうだ。 以前何かの話題の時に、メロディーしかわからないこの曲について友人達にも尋ねていたのだ。 その中で彼女は聴いたことがある気がすると言っていた。 「で、あ!これって思った瞬間頑張って歌詞覚えて、すぐ携帯にメモして…」 歌詞から三人で必死にネットで探して―とアケミが後を受け継ぎ。 「私が見つけたんだ…。」 とマコちんが照れくさそうに言った。 ―そうだったんだ…。 友人達は私と初春の仲違いについて特に追求したりもしなかったし、今もこうして気を使ってくれている。 それに以前気まぐれに出した話題のことを覚えていてくれて、直感的にそれに反応してくれたのだ。 それが何よりも嬉しかった。 と、同時に私はある考えが浮かんだ。 この曲を―初春との和解のきっかけに出来ないだろうか。 ―前探していた曲が見つかったんだ。初春も聴きたいって言ってたよね…と。 これで初春とまた元の恋人にだって戻れるかもしれない。 当然、それで何も変わらないかもしれない。ただ何かきっかけが欲しい。 「三人とも…ありがとう。」 「いいってことよ、んじゃ明日データにして持ってくるよ。」 「ううん、歌手と曲名だけ教えて。帰ったらすぐ探すから!」 そこで、昼休み終了を告げるチャイムが鳴った。 帰り道―。 私はここ最近では本当に久しぶりに浮かれた気分で家路を急いでいた。 光が見えた。 あと一歩を踏み出す勇気が無かったところで友人達が背中を押してくれた。 そんな気がしていた。 弾む足取りで人波を避けながら街路を通り抜けて行く。 ―と。 「あらっ…佐天さん。」 「白井さんっ!?…………………どうも。」 「お久しぶりですの。」 「そう…ですね。」 これは―厄介な相手に会ってしまった。 「ちょっと、そこの喫茶店でお茶でもいかがですの?お時間はありまして?」 どうしよう…しかしここは―。 「いいですよ、今日は特に用事ないですから。」 喫茶店―。 席に着いて飲み物を注文してから、白井さんはしばらく携帯電話で何か操作をしていた。 ―白井さんに会うのは本当に久しぶりだ。 以前は頻繁に(初春に会うため)風紀委員の第177支部に顔を出していたが、初春と付き合い始めてからは控えていた。 今にして思えば自意識過剰というものだ。 それからほとんどの時間、休日も初春と二人きりで過ごしていたから、 当然白井さんや御坂さんに会うことはほとんど無くなっていた。 「本当にお久しぶりですの。最近はあまり誘ってくださらないとお姉さまも寂しがっていますわ。」 携帯電話をしまうと、白井さんはそう切り出した。 それを言われると心が痛かった。 だから気まずかったのだ。一度となく命を救ってもらった人達に隠し事をして、よそよそしくしなければならない。 話せば理解してくれたかもしれない。特に白井さんなら。 しかし結局その勇気は無かった。 私は私なりに真剣だったけど、初春とのことはやはりまだ中学生の私には他人に上手く伝えられる自信がなかった。 だから、皆には黙っていよう―と、そう初春に提案したのだ。 それに白井さんは私と初春の仲を引き裂く憎き風紀委員の一員だ―なんて感じていた時期もあった。 その時の記憶が後ろめたさに拍車をかける。 「それで…単刀直入に申しますわ。一体、初春とはいつ仲直りしますの?」 「え……………初春から…聞いたんですか?」 当然の疑問だ。初春がそんなデリケートなことを他人に話すだろうか。白井さんにならあり得るかも知れないが。 「まさか。何も言ってくれませんの。むしろ何も言わないからこそ、そうとしか考えられませんわ。」 「何も言わないから…?どういう意味ですか?」 ここでウェイトレスさんが飲み物を運んできた。白井さんは紅茶のようだ。私はホットココアだった。 白井さんは優雅な手つきでカップを手にとると、口元に持って行き、もったいぶるように香りを堪能してから口をつけた。 「それは…いつもいつもしつこいくらいしてた話を突然しなくなったかと思えば、最近少々手に余るひったくり犯 の情報をそれはもうものすごい勢いで収集し始めたり、かと思えば簡単な作業でミスを連発したり ボーっとしていたり…そんなことが続けば嫌でも気がつきますわ。その初春がいつもしていたお話とは…」 「佐天さん―あなたのことですの。」 「え―――――」 心臓が針で刺された風船のように破裂したかと思った。 しばらく、心臓が動いているのか止まっているのかもわからなくなり、ようやく―どうやら動いているらしい。 ことがわかった頃には呼吸をするのが苦しくなるほど、胸の奥が強く脈打っていた。 白井さんは私が帰ってくるのを待っていたかのように、手に持っていたカップを置くと話を再開した。 「支部にいるときの初春と言えば、やれ佐天さんとお揃いのマフラーを買ったんですだの、どこへ行ったの ああ言ったこう言ったと―私だってお姉さまとのことをあんなにたくさんは話せませんわ、というくらい。 それは楽しそうに。」 ―初春が…そんなに私のこと…そんな風に。 「それ…いつ頃ですか?」 「いつも何も、ずっとですわよ。佐天さんが支部にお顔を出すようになってから、いらっしゃらなくなって からも隙さえあれば―という感じでしたわ。」 ―そんな前から…ずっと。恋人になる前から…。 「そんな初春が、突然ああなっては…誰だって佐天さんとの事と思うはずですの。」 私は白井さんの真正面に置かれたカップにずっと視線を注いでいたが、だんだん焦点があわなくなっていった。 喉が乾き、ココアではなく水に手を伸ばそうとするが、指先が小刻みに震えているのに気づいてしまった。 「そんな初春が今は―ひったくり犯にご執心なんですの。犯行グループのリーダー格で 能力者の男だけ捕まってませんの。そのひったくり犯をどうしても早く確保したいようでして…」 私は、今度は汗ばみ始めた手のひらをスカートで拭い、そこにできたシワを見つめていた。 縮こまった生地がすぐに元の形に戻ろうとしている。 「早く解決させて、何やらしたいことがあるようなんですの…」 ―それって…もしかして…。 「まあ詳しくは聞きませんが、あなた方二人の関係がここで終わる何て思えませんが…。 初春はあれで頑固な所がありますから、どうか佐天さんから折れてあげてくださいな。」 最後は少し柔らかい言い方だった。 「では、私、用事がありますので失礼いたしますわ。今日は付き合っていただいてありがとうございますですの。 ここは私がもちますわ。」 「あ…そんな…。」 「今度はまた四人で来ましょう。その時にご馳走になりますわ。では。」 と、言って白井さんはお札を二枚テーブルにおいて出て行ってしまった。 私はそのままでしばらく放心していた。 ―初春が風紀委員でどうしていたかなんて、考えたことも無かった…。 私は今頃白井さんの二の腕に緑の腕章がつけられていたことに気づいた。 今は風紀委員としての職務中だったのだ。 にも関わらず、私と初春との仲を気にしてわざわざ時間を割いてくれたのだ。 今さらながら、本当に申し訳なく思った。 いつか、またこの喫茶店で白井さんと御坂さんと初春の分をもし、もし私が払うとしたら…。 そんな時が本当に訪れるのなら、たった一回のおごりでは返せないほどのものを受け取ってしまった。 ―二枚なんて多すぎですよ…そうまでしてまた四人でお茶しようってことですか…? そんな気遣いに多大な感謝を禁じ得ない…しかし今の私には白井さんが、皆が遠く感じるだけだった。 ―私一人で突っ走って、誰もいないところまで来ちゃったよ…。 私は初めてテーブルの上のココアに口をつけた。暖かい室内にあったとは言え、 あれだけの時間が過ぎてしまえば、ココアからはすでに湯気が消え、熱くもなく冷たくもない。 そんな中途半端に温いココアを少しずつ、乾いた喉に流し込んだ。 店を出て街を歩き、部屋に着くと、室内はあの日の教室のように橙色に染まっていた。 制服を着替える気にもなれず、そのままベットに仰向けに寝転び室内を見つめた。 陽光に照らされたホコリが舞っているのをしばし見つめた後、 ―そうだ。あの曲探そう…。 おもむろにベットから起き上がり、部屋の灯りも点けず、パソコンのある机の前に座ると 私は淡々とした動作で本体の起動からブラウザを起動させいつも利用している音楽サイトを開いた。 アケミに教えてもらった曲名、歌手名は携帯電話にメモしてあるが、 その名前はしっかり記憶していたのですぐに検索にかけてみた。 果たしてその曲はあった。 探していたものが見つかってもそれほどの感動はなった。 ―今更こんな曲…。 私はパソコンを操作する手を一旦止めた。 この曲を聴いてそれでどうなるんだろう。 私は初春の気持ちを知らなかった。知ろうともしなかった。私への気持ちを試すようなことばかりして…。 初春がどれだけ私のことを考えてくれていたのか…初春だって真剣だった。 ただ私とは形が違うだけだったのだ。 それなのに私は自分の感情ばかり押し付けて…無視して…嫌な態度をとって… さらに元に戻ろうなんて… ―言えるはずがないよ…。 それでもアケミ達が一生懸命に探してくれた曲なんだ。 もしかしたら、最近様子のおかしい私を少しでも励まそうとして、それで探し出してくれたのかもしれない。 白井さんだって、春上さんだってきっと私達がまた元に戻ることを望んでいる。 そんな皆の期待に答えるため。そして今日までの仕打ちを初春に詫びるため。 そのための勇気を…。 ―どうか私にください。神様…―。 私はディスプレイに表示されたダウンロードボタンをクリックした。 5スレ300 後へ